論壇

自治体の公契約条例-広がりと課題(下)

賃金・雇用条件定め公共サービスの質確保へ

現代の労働研究会 小畑 精武

4.これからの課題

自治体公契約条例の出発点は、自治体の発注する公共工事に加え、様ざまな民間委託事業が年々増加、同時に安ければよいという競争入札が激化し、従事する労働者の低賃金や不安定雇用が広がってきたことにあった。「おれたちはごみじゃない」「物件費を“人権”費に」の声が高まり、公契約条例によって適正な賃金・労働条件を確保して安心して働ける条件をつくること、そして公共サービスの質の確保が目ざされた。これまで21自治体が公契約条例や要綱によって最低賃金(報酬)を確保し、最低金額が明示されていない基本条例や要綱を加えると50を超える自治体が公契約条例や要綱を定め、徐々にではあるが状況は改善されつつある。だが、反対論、自治体職員の消極性は根強い。また制定後に、適正に積算されているか、公契約最賃として妥当な額か、安定雇用(優先雇用)や社会保険への加入、さらに介護職の賃金改善に公契約の発想を活かすことなど課題は多い。

●適正な積算価格(フルコスト・リカバリー)

公契約条例により最低賃金(報酬額)を定めても、自治体(発注者側)が予定価格を積算する際に「適正な人件費」が組み込まれているかが問われてくる。この場合の人件費は直接支払われる賃金だけではない。社会保険にかかわる法定福利費や安全管理費なども当然のことながら積算されねばならない。この間、建設業においては「社会保険への加入」が課題となり、その費用を福利厚生費として積算に盛り込む取組みが行われてきた。公契約条例を定めている野田市では「建設労働者の雇用に伴い必要な経費」を職種ごとに参考値として示している。

労務提供型の場合であっても人件費だけでは適正な積算とはいえない。これまでともすれば前年度より5%一律カットとか人件費を無視した積算が行われてきた。すでに、国分寺市公共調達条例は「価格算定の適正化」を条文化し、「市は、最新の市場価格及び社会情勢を考慮し、適正な積算根拠に基づき調達品の価格を算出しなければならない」「調達品の品質を維持するために通常必要とされる価格を著しく低下させてはならない」としている。熊本市では指定管理者制度の改革として、本社(支社)機能の維持に必要な経費として役員報酬、福利厚生費など「一般管理費」を積算している。建設と同様に健康保険、厚生年金など社会保険加入にともなう福利厚生費の積算は不可欠である。とくに最近増加しているNPOによる自治体に関わる委託業務においてともすれば適正な委託料の積算が行われず、安さを追求する問題点が聞かれる。NPOを運営するうえで、適正な人件費と管理費を含む総額費用のフルコスト・リカバリー(表1)が不可欠である。

フルコスト・リカバリー表
● 適正な人件費積算 生活できる職種・職務賃金の検討

公共工事の労務単価の場合は、国の「公共工事設計労務単価」を「適正な賃金」(標準生活ができる賃金)とひとまず考えることができる。

業務委託の場合に「公共工事設計労務単価」に該当する単価表は、国の施設管理業務についての「建築物保全業務設計労務単価表」や「設計業務」しかない。これらは自治体が担ってきた公共サービスにかかわる業務、職種数からみれば、ごく一部でしかない。賃金は、自治体が設置した公社、事業団などの自治体準拠賃金から、一般競争入札の下で激しく値下げが展開されてきた庁舎清掃、公立病院医療事務などまで、数えきれないほどの賃金実態がある。しっかりした賃金表や労務単価表もないまま、前年プラス、あるいはマイナスが繰り返され、予算も一律にカットされ自治体の恣意的判断によっている。

こうした無秩序な状態にあるとはいえ、この間の公契約条例において基準を求める試みが始まっている。①当該自治体職員の高卒初任給、②生活保護基準(19歳)、③国の建築物保全業務労務単価表、④当該業務の標準的賃金(国の賃金構造基本統計調査)、⑤当該職務の現行実績・職種別賃金を基準とする試みである。

この場合も、大きく「公契約における最低賃金」①②と「公契約における標準賃金」③④の二つに分類できる。⑤は両方の要素が混在している。

● 適正な最低賃金基準

① ②の最低賃金を考える場合、それぞれ根拠としては19歳の生活費を考慮に入れた生活賃金と考えられ、一定の整合性がある。問題は、19歳の生活費を基準とした最低賃金が積算基準として予定価格算定に組み込まれ、そのまま年齢・経験・職務に関係なく賃金基準として続くことにある。同じ賃金表が適用される一般公務員の場合、年齢、職務経験などにより、定期的昇給がある。しかし「積算基準としての最低賃金」に定期昇給はない。積算基準が上がらない限り、積算される年齢や経験に関係なく賃金は据え置かれてしまう。

このことは日本の最賃制の欠陥を反映している。欠陥とは、19歳の生活費(単身者、高卒で職業経験、資格ゼロ)が基準でそのまま据え置かれることだ。国際労働基準はILOの最低賃金規定である「労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会集団の相対的生活水準を考慮したもの」(第131号条約、最低賃金決定)から逸脱をしている。日本は批准しているのにこの規定を守っていない。

19歳生計費基準の最賃では、労働者とその家族の最低の必要を充たすことはできない。

子どもを養う成人労働者にとっては「適正な最低賃金」ではない。少なくとも、19歳からの労働の経験、技術の習得、職業能力の向上と生活費の上昇を含み込む最低賃金の水準を「人件費積算の最低基準=公契約最低賃金」とすべきではないのか? その際、イギリスの最賃制度が参考になる(表2)。イギリスの最賃は3段階に分かれ、21歳以上の成人最賃が基準で20歳以下は26.4%減額されている。仮に日本でも19歳最賃ではなく、その26.4%増しを成人最賃とすると1008円となり、16春闘でコミュニティ・ユニオンなどが要求した「どこでも時給1000円」の水準になる。

(注1)イギリスでは16年4月から、新たに25歳以上の労働者にリビングウェイジを保証する最賃制度がスタートする。その水準はイギリス人の年間所得の60%(OECDが示す低賃金分岐点)で、ロンドンでは9.15ポンド(1766円)、他地域では7.85ポンド(1515円)となる。

さらに、単身者の場合であっても、連合のリビングウェイジ(単身者)にも達していない。(表3)産業別にみた場合も連合の産業別短時間労働者の時間給表(表3)と比較しても、これまでの公契約条例最低賃金の低さが目立つ。

「適正な最低賃金」を考える場合、一つには、ILO131号「最低賃金決定条約」にある「労働者のその家族の必要」が最低賃金として保障されるべきだ。少なくとも「親1人+子1人の生活費(夫婦と子ども2人の標準4人世帯でない)」の保障である。東京都の場合、親30歳1人+子4歳1人の母子家庭の生活保護費は、月額204,880円(1時間1220円)となり、成人の場合、時間給1220円が人件費積算の最低賃金になるべきである(表3にある東京都の短時間労働者の産業平均1222円はそれに近くほぼ同額である)。

もう一つは、その公正さである。自治体によって労働市場における賃金単価を引き下げる労務単価の設定は安ければよいという不公正な競争をもたらすことになる。

野田市の職種別賃金の取組みは、建築物保全業務のように標準賃金を基準にする場合と電話交換時間給1000円などのように発注実績をふまえた職種賃金(現行相場賃金)の2本立てとなっているが、「現行相場賃金」職種の場合、生活できる賃金の保障水準としては低いのではないか。

この点、足立区条例では「公共工事労働報酬下限額」が建設業における「職種別標準賃金による最低保障」と「産業別最低賃金」との2本立てで組み立てられている。すなわち、公共工事における熟練労働者、一人親方については「公共工事設計労務単価の90%」とし、熟練労働者以外については時間額1064円(設計労務単価・軽作業の1時間単価×0.7)を設定し、区分している。ちなみに、業務委託への従事者最賃は950円である。

● 適正な職種別標準賃金の確立

業務委託における「適正な職種別標準賃金の確立」が喫緊の課題になっている。

指定管理の場合、これまで熊本市が指定管理者制度の導入にあたって示した「人件費単価表」が参考になる。「この単価表は、指定管理に係る管理運営経費の『積算総額』の算定にあたっての基準」とされ、「指定管理公募施設(大中小)の長、補佐、係長、一般職、常用パート(嘱託)、臨時職員」までの人件費単価、大規模施設の長年収8,126,000円から臨時職員年収1,773,000円(時給換算879円)が示されている。

公共工事における設計労務単価と同様に、業務委託における職種、職務、経験別の人件費積算基準の作成(最低賃金と職種別標準賃金)が公契約条例を制定した自治体はもちろんのこと、すべての自治体に求められている。北海道帯広市では委託業務と指定管理業務の人件費積算単価表を作成している。

野田市や足立区の試みをより整理・研究し、多摩市、国分寺市が示した「当該業務の標準的賃金」を具体化すること、官民を問わず公契約において①産業別最低賃金に基づき、②職種別最低賃金、③職種(職務)別標準賃金表を整備し、深めていくことが公契約運動の喫緊の課題になっている。労働組合自体の課題でもある。

● 介護職の賃金引き上げと「公契約」

介護保険に基づく公的介護事業を多くの民間事業所が担っている。その構造は国や自治体事業の民間委託の構造と酷似している。介護保険事業に関わる費用は9割が介護保険料と税金(国・自治体)から支出され、利用する本人の負担は1割である。介護事業所は、勝手に開業することはできない。「指定(許可)制」になっており、国の条件・自治体の条件に適合しなければならない。国・自治体と民間介護事業体との関係は「公契約」を結んでいるといえる。

従事する職員の賃金原資は国の審議会で決まる。その配分をめぐって事業所内労使による分配交渉が行われ(組合がない事業所では使用者が決める)、具体的賃金・労働条件が決まっていく。現在問題になっている介護労働者の低賃金は「二重の問題」を抱えている。まず、第一に、国が決める賃金原資そのものが低いために、現場労働者に配分する賃金を高くすることができない。第二は、事業所の介護労働者の組織率が低くかつ交渉力が弱いために事業所内労使交渉で高い賃金を獲得することができない。がんばっても国が決める原資の壁にぶちあたる。良心的な経営者も同じ壁にぶちあたり悩む。他方、安く職員をこき使う事業主はふところを肥やす。

この問題を解決して、ディーセントワークとしての介護労働を実現していく方策は公契約条例の考え方から導くことができる。介護職種は職が限定されているので、公共工事と同様に職種・資格・職務・経験毎による標準賃金を導き出すことが可能だ。

問題は、その水準をどこに設定するかである。現行介護相場賃金では問題にならない。なぜなら現行介護相場賃金の安さが問題になっているからだ。介護労働安定センター調査に基づく賃金は国が介護保険成立後導いてきた結果としての低賃金であり、問題解決にはならない。ここで「同一価値労働・同一賃金」の原則と手法を活かすことができる。これまでにも、自治労都本部が「同一価値労働・同一賃金」原則により医療職と職務分析調査(注2)をしている。その結果が以下(表4)である。

(注2)「魅力ある介護労働への4つの提言」介護労働処遇条件のあり方研究会・2012

介護報酬はこうした水準を保証することが第一に必要である。そしてこの水準の0.8~0.9を介護職種最低賃金として設定し、それ以下については指定条件に違反する事業所とし、その改善を求め、改善されない場合には指定を解除する措置を講ずることを検討することが介護労働者の職の確立に必要である。

こうした条件のもとで介護報酬単価のうち賃金部分については本来労使交渉で決め、それを報酬とすべきである(ILO94号条約)。現行制度においても報酬分科会への介護労働当事者参加を求め、労使からなる報酬審議会形式を取ることは可能である。

● 「入札改革」としての公契約条例-反対論の克服

「公契約条例は憲法違反だ。法律違反だ。」という当初尼崎市にみられた反対論は公契約条例が全国に広がるなかで徐々に静まっている。09年5月ねじれ国会ではあったが、360万筆の署名を背景に、公共サービスへの国民の権利を明らかにした公共サービス基本法(09年5月)が制定され、「公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保」(11条)が明記され、国や自治体の努力義務としている。

国は尾立参議院議員の質問主意書への答弁書において、麻生総理大臣名で「公契約において最賃法を上回る最賃額を設定することは最賃法違反ではない」(09年3月)こと「総合評価方式(注3)で最賃以上の賃金支払いを設けることを落札者決定基準とすることは最賃上問題にならない」を明確にした。(注4)さらに「条例中に罰則を設けることができる」との答弁もしている。現在まで「違法」として裁判に持ち込まれている例はない。

また、公権力規制としてではなく、「契約の自由」に基づく「公契約規整」としての理解が深まってきた。だが、根強い反対論は、公契約条例を制定した自治体においても「最低賃金条項」の設定を阻んだり、条例内容を後退させたりしている。

特に、1票差で否決された札幌市においてみられた「反対論」は典型的で、無視することができない。曰く「入札改革の推進が先だ」「自治体委託だけが高くなるのはおかしい」「コストがかかる」「自治体負担が増える」……。

たしかに「入札改革」は必要である。だが「入札改革が先」か「公契約条例が後」かではない。むしろ、適正な人件費積算に基づく公契約の締結自体が重要な「入札改革」であり、同時並行的にすすめるべきなのだ。何よりも公契約条例に定められる最低賃金(報酬)額を超える予定価格を積算において盛り込むことが自治体当局に求められるからだ。札幌市でも、遅まきながら、入札改革やモデル事業を開始している。

「京都府公契約大綱」(2012年)にみられる「最低制限価格制度」「低入札価格調査制度」などの見直しが、この間の公契約条例運動の展開の中で広がってきている。国分寺市は「価格算定の適正化」を明記、さらに「通常必要とされている価格を著しく低下させないよう留意しなければならない」としている。前橋市は取引の実例価格を踏まえ、適正な積算根拠に基づく「価格算定の適正化」を明記している。「適正な積算根拠」を盛る条例が15年3月制定の岐阜県条例、15年10月の京都市条例と増えている。日常的に「入札改革」運動をすすめることが不可欠であり、日頃からの自治体自体の姿勢が問われてくる。

「自治体委託だけが賃金が高くなるのはおかしい」との反対論は、最低賃金ぎりぎりで働いている、いわゆるワーキングプアの問題から目をそらしている。北海道では生活保護基準より最低賃金の方が安い唯一の都道府県として残っていた。賃金の低さを競い合う「底辺向けた競争」はやめなければならない。安心して働き、生活できる賃金(ディーセントワーク)を実現していくことは、グローバル化の中での世界的課題になっている。世界的にも15ドルへの最賃が広がっているなかで、低賃金の底上げは官民問わずの課題でなければならない。

(注3)総合評価方式は、安ければよいという価格だけを落札基準とするのではなく、自治体にとって最も有利な「価格その他」を評価基準とする落札者決定方式で1999年に地方自治法施行令が改正され導入されている。これにより、価格一辺倒から公正労働、人権・福祉・環境・男女平等参画・地域貢献などを評価基準にすることが可能となった。  

(注4)「参議院議員尾立源幸君提出最低賃金法と公契約条例の関係に関する質問に対する答弁書」内閣総理大臣麻生太郎(2009年3月6日)。

● 職員意識の改革と労組

14年10月に尼崎市で開催された「公契約条例セミナーInあまがさき」で「自治体職員の消極さ」がひとしきり問題になった。A市の幹部は「職員に抵抗感がある。職員に条例制定の強い意志が働かないと無理」と指摘。多摩市職員組合からは「仕事量が増えるのではないか?」「委託化が進むのではないか?」との危惧が組合員(職員)から示された。こうした危惧に対して、労働者報酬台帳を工夫し仕事量を抑えたこと、適正な委託料を確保し「委託化=安上がり」の考え方の転換をはかり、さらに「適正な利潤の保証は安上がりにならないはず」との対応を行った報告があった。課題として「職員の公契約条例への理解促進・意識改革」とともに、「職員の適正な積算能力の確保」をあげている(月刊労働組合、15年3月号)。

公契約条例は確実に広がっているが、民間委託が広がっていった速度に対し、圧倒的に遅い。その要因として「自治体職員(労働組合員)の抵抗感・消極性」があることが指摘されてきた。「同一価値労働・同一賃金」の原則を認めながら、いざ自分たちの身に降りかかってくると立ち止まってしまう。自治体職員には人件費も含む「適正な積算能力」が求められる。自治体が直接公共サービスを提供してきた時と時代は大きく変わっているなかで、委託に出す仕事・職種・職務に人件費としていくらが適正なのか、自治体にも、自治労など労働組合にも問われている。少なくとも建設公共工事に使われている「労務単価表」に匹敵する「職種別人件費単価表」の確立は、適正な積算に使用するために喫緊の課題である。そして、それを組合要求として自治体が積算する単価と付き合わせた「賃金」交渉が必要になっている。交渉団には委託労働者の参画も当然必要になる。

● ILO94号条約の批准と公契約基本法の制定

国際労働基準法といわれるILO条約第94号条約は「公契約における労働条項」を定めている(注5)。1949年に成立、63か国が批准し、ヨーロッパでは、フランス、イタリア、オランダ、北欧、イギリス(サッチャー時代に破棄したが現在はリビングウェイジ条例が普及)などが批准。批准国が少ないアジアでもマレーシア、シンガポール、フィリピンが批准している。アメリカは批准していないが、この条約の原点ともいわれるデービスベーコン法(1931年制定)により公契約にかかわる建設労働者の賃金を現行相場賃金以上とすることを保障している。

労務提供のサービスについてもサービス契約法(1965年制定)が制定されている。連邦政府との契約によるサービス事業に従事する労働者の賃金は現行賃金相場下らないこと、労働協約がある場合にはその協約に従うことが明記されている。その後も賃金に留まらないアメリカ政府が進める人種、皮膚の色、宗教、性別出身国による差別禁止を事業主に求め、さらに雇用機会均等と求めてアファーマティヴ・アクション・プログラムの作成を求めている。さらに、オバマ大統領は就任当初2009年1月に、サービス提供事業主が変更になった場合、これまでサービスを提供してきた労働者の雇用申し入れを後継事業主が受け入れ優先雇用することを義務付けたのである。

日本ではILO第94号条約(注4)の採択を受け、1950 年に公契約法案が作成されたが、経済界からの反対が強く、国会提出ができなくて稔らなかった。しかし、2009年野田市における公契約条例の制定以降、自治体における公契約条例制定が続いており、国においても独自の「公契約基本法」の制定が求められ、その具体化として公契約基本法の制定は可能である。安倍首相も「同一価値労働・同一賃金」を主張し始めている。ILO94号条約の批准と公契約基本法の制定は喫緊の課題になってきた。各政党は7月参院選の公約・争点化するとともに、推進のために議員連盟づくりをすすめることが課題になっている。

(注5)ILO94号条約(公契約における労働条項)「この条約は、公の機関を一方の契約当事者として締結する契約においては、その契約で働く労働者の労働条件が、団体協約または承認された交渉機関、仲裁裁定あるいは国内の法令によってきめられたものよりも有利な労働条件に関する条項を、その契約の中に入れることをきめたものである。こうした契約の中に挿入された労働条項が遵守されなかったり、あるいはその適用を怠る場合には、適当な制裁が行われることになっている(ILO駐日事務所)。従って、この条項の有効な実施を図るために十分な監督制度の設置について考慮しなければならない。

おばた・よしたけ

1945年生まれ。69年江戸川地区労オルグ、84年江戸川ユニオン結成、同書記長。90年コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク初代事務局長。92年自治労本部オルグ、公共サービス民間労組協議会事務局長。現代の理論編集委員。「コミュニティ・ユニオン宣言」(共著、第一書林)、「社会運動ユニオニズム」(共著、緑風出版)、「公契約条例入門」(旬報社)、「アメリカの労働社会を読む事典」(共著、明石書店)

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