現代の理論アーカイブ

現代の理論アーカイブについて

編集部

『現代の理論』アーカイブでは、第一次から第三次にいたる雑誌『現代の理論』に掲載された論文のうち、再読すべき主要論文を編集委員会が厳選して紹介いたします。また読者のみなさんのご要望にもお応えします。『現代の理論』は、発信媒体の多様化によって目先の時局論・政局に流されることのない骨太で息の長い理論や政策の発信を目指してきました。常に現実や実践への思考を内包し、理論の自立性を掲げての50年―それが雑誌『現代の理論』の歴史でした。そのような先達の営為をあらためて回顧することによって、「今だからこそ」問われなければならない現代的課題の再発見が可能となることを確信しています。

昨今、いろんな意味で時代は転換するのかを思わせる状況が続いています。国内では昨年の戦争法案の強行から今夏参院選を経て、戦後のウルトラ保守の見果てぬ夢であった憲法の改訂―九条の改悪への突破口を開こうとするアベ晋三の策動。眼を転じてアメリカ。大統領選の予備選挙をめぐってトランプ騒動、サンダース現象と喧騒のなかにある。トランプは、“安保ただ乗り、日本も核武装”と言い出す始末。さて米大統領オバマは任期半年あまり。5月下旬の伊勢志摩サミット時の広島訪問が現実味を帯びてきている。その評価はこもごもあり。就任直後の7年前、“核なき世界”を訴えたプラハ演説は歴史に残るだろう。そのオバマ外交の評価をめぐってアメリカの高級誌が「オバマドクトリン」という長文の特集をくんでそうだ(詳しくは本号特集の金子敦郎論文で)。キューバとの国交回復に続き、広島訪問を実現し、広島演説が実現すれば、第二の“プラハ演説”として歴史的評価をうけるか、その内容が問われる。国際問題ジャーナリストの金子敦郎さんは本誌20号(09年夏号)で、「核ゼロ」へのオバマ戦略を「『使えない兵器』から『使わない兵器』へ」で論じている。本号論文と併せお読みいただきたい。

アーカイブもう一本は、いつも沖縄問題で本誌に健筆を奮っていただいている後田多敦さんの「鎖を断ち切ろうとする琉球の人々」(本誌25号10年秋 )を掲載する。同論文で後田多さんは、明治以前の「琉球」はアジアに開かれていた。明治政府の武力による琉球「併合」に抵抗する知識人の足跡を追い、東アジア近代史で沖縄を縛る鎖とは、その鎖を断ち切る道はどこにあるのかを追求する。本号の「ヤマトー日本にとって沖縄とは何か」(千本秀樹)論文と併せお読みください。

論文アーカイブ

第三次『現代の理論』第20号(2009年夏)/特集「転換点に立つ世界」

「『使えない兵器』から『使わない兵器へ』」ジャーナリスト・金子 敦郎

第三次『現代の理論』第25号(2010年秋)/特集「日本の近現代史を問う」

「鎖を断ち切ろうとする琉球の人々」『うるまネシア』編集委員・後田多敦

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