特集●転換の時代
「同一労働同一賃金」の現実的な可能性
連合は正面から対応できるか
グローバル産業雇用総合研究所所長 小林 良暢
政府は、同じ仕事なら同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を実現する指針をつくるための具体的な論議を開始した。「同一労働同一賃金」に関しては、例えば欧州では正規社員に当たるフルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準は、イギリスが71%、ドイツは79%、フランス89%に比べて、日本は57%と低い、などと指摘されている。安倍内閣は、この状況を非正規雇用の待遇改善を通じて改善すべく、4月中下旬までに論点を整理し、5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込むよう取り組んでいる。
「同一労働同一賃金」については、これまで労使ともに政策目標を掲げてきているので、反対を唱えることはないが、「何が同一か」を巡っての解釈が一様でない。例えば、経済界は非正規で働く人の待遇改善という政府の狙いには理解を示しつつも、「同一労働同一賃金」には慎重論が大勢である。その理由として、榊原経団連会長は「同じ仕事だから同じ賃金という単純なものではない。日本独自の雇用慣行を踏まえ、将来への期待や、転勤の可能性、役割や会社への貢献などの違いもある」ことを挙げる。経団連がこう言う背景には、日本企業は勤続年数に応じて結果として賃金が高くなる職能資格制度に基づく賃金体系が一般的で、そこに欧州のような職務給をベースにした「同一労働同一賃金」を導入しようとすると、労使関係の現場で混乱を招くので難しいとする考え方がある。こうした考えは経済界に限らず、労働界や学界にもかなり根強くあって、なかなか一筋縄ではいかないのである。
しかし、安倍首相はこうした事情を百も承知の上で、今回の提案をしてきている。
安倍首相が「同一労働同一賃金の実現」を最初に発言したのは、1月22日の施政方針演説である。それが俄かに動き出したのは、2月18日、安倍首相が官邸に労働法学者の水町勇一郎東大教授を招いて懇談したのがきっかけだ。この席で、水町教授が欧州の労働法制は雇用形態や雇用期間の違いで不合理な労働条件の相違を認めておらず、「日本でも同一労働同一賃金の原則を入れることは十分考えられる」として、そのために労働契約法とパート労働法、労働者派遣法の改正が必要だと助言したという。そしてこの直後の2月23日に官邸で開かれた一億総活躍国民会議で、安倍首相が「同一労働同一賃金」の実現に向けて具体的な法制度の在り方を早急に進めるよう関係閣僚に指示して、法制化が政治日程に上ったのである。その上で、3月末から具体的な法制度の在り方に関する内閣府・厚生労働省共管の同一労働同一賃金の実現に向けた検討会を設けている。
「同一労働同一賃金」の組み立て
以上、「同一労働同一賃金」を巡る一連の動きから見えてきたのは、水町教授がこの論議をリードしていることで、この水町プランのポイントは次の3点である。
第1は、職務給の欧州流「同一賃金」を職能給の日本企業に移植することの困難さをどう克服するかという問題である。
この点について、水町教授は、安倍首相が出席して「同一労働同一賃金」の検討を指示した第5回一億総活躍国民会議に有識者として呼ばれ、次のような意見を述べている。
「フランスでは、提供された労働の質の違い、在職期間(勤続年数)の違い、キャリアコースの違い、企業内での法的状況の違い、採用の必要性(緊急性)の違いなど、ドイツでも学歴、(取得)資格、職業格付けの違いなどが、賃金の違いを正当化する客観的な理由と認められると解釈されている。」
つまり、同一労働同一賃金が根付いている欧州でも、経験や能力に応じた賃金差を認め、学歴や資格、勤続年数に応じて賃金水準に反映させており、日本でもこれらの事例も参考にするべきだという。すなわち、この発言の根幹は「同一賃金」にするとは言っても、正規社員とパート・期間社員・派遣労働者との間には、職能資格や勤続年数、学歴などで賃金に差を付けることを、「合理的な理由」のある範疇で容認しようという方向である。
これに対して、新聞論調は是々非々のものが多いが、ひとつ朝日新聞の匿名コラム・経済気象台「働き方改革への違和感(山人)」(2016.3.5)が、明確な批判を展開しているのが目を引く。曰く、安倍首相の「同一労働同一賃金」に違和感を覚えるのは、「非正規社員の増大を既成事実として是認した上で、正社員との賃金格差の縮小を議論している点だ」として、非正規社員の正社員化を進めて安心して暮らせる賃金を払う、という話ではないと述べ、「いま議論すべきは、長期安定雇用をどうやってつくるかということである」として、「均等化」よりも「正社員化」だという主張だ。
しかし、すでに非正規雇用者の比率が40%に達しようとしている現在、これを「正社員化」しようというのはリアリティーに欠ける主張で、「同一労働同一賃金」の実現を期待している派遣や期間社員として働く人たちの共感を得るのは難しいのではないか。派遣やパートを正社員化するという話は、それが出来るに越したことはないが、会社が正社員への登用を呼びかけてもパートタイマーの3分の2、派遣労働者の約半数が「現在の就業形態で働きたい」と考えている現状のもとで、そうした形で働いている人たちにとっては、「同一労働同一賃金」の方が日々の時給の改善につながるものとして映るだろう。
第2は、「同一労働同一賃金」の法制化と、学歴、取得資格、職業格付け、経験や能力に応じた合理的な賃金差を設けることを、どのように法律に盛り込むかである。
水町教授は、政府の第1回同一労働同一賃金の実現に向けた検討会で、同一労働同一賃金とは「職務内容が同一または同等の労働者に対し同一の賃金を支払うべきという考え方」だとした上で、「正規・非正規労働者間の処遇格差問題にあたっては、非正規労働者に対し、合理的な理由のない不利益な取扱いをしてはならない」とし、具体的には次の2つのことを提案している。
ひとつは労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法における「同一または同等の職務内容であれば同一賃金を支払うことが原則であることを法律上明確にする」ことである。じつは我が国でも、既に労働契約法20条やパート労働法8条、労働者派遣事業法30条で、これら労働者の労働条件について、「不合理と認められるものであってはならない」とか「均等に配慮する」と謳っているので、法文上はこれを「均等を義務づける」とかにするだけである。とは言っても、これで労使の合意をとりつけることは大変なことだが、安倍内閣の力で押し切ってもらうしかない。
いまひとつ、賃金差を容認する「合理的な理由」の問題をどう謳い込むかである。水町プランでは、「欧州の例などを参考にしつつ『合理的な理由』の中身について、政府として指針(ガイドライン)を示す」ことを提案している。
これに対して民進党は、「ガイドライン」ではなく、それを「法律の本則」に盛り込めと主張している。だが、箸の上げ下げまで縛る法律では、かえって規制力を削ぐことなり、法律自体が空文化するので、筆者は反対である。
ではガイドラインでいいかというと、こうした政府のやり口には問題があると考える。職種別賃金の素地のない我が国では、均等原則を曖昧にし、正規社員と派遣や契約社員、パートタイマーとの賃金格差を残す温床になりかねず、せっかくの労働市場改革が元の黙阿弥になる恐れがあるからだ。また、政令、省令、大臣告示などは立法府の承認もなく、また労働市場の現実を無視して、役人が恣意的にこれらを連発することができ、とくに労働法制ではこの類が多く、労働者の権利を侵す事例すらみうけられるので、この手法は取らない方がいい。ではどうしたらいいか、筆者の意見は最後の「同一労働同一賃金の実現戦略」の項でまとめて述べる。
均等と均衡
第3は、均等と均衡という悪しき言葉の使い分けをどう扱うかである。
安倍首相と官邸周辺は、正社員と契約社員、パートタイマー、派遣労働者との賃金格差の是正について、従来から一般に使われてきた「均等・均衡」のうち“均衡”という言葉を使うのを慎重に避けている。これは、重大な変化で、ここに今回の際立った特徴がある。
たとえば、昨年改正された平成27年労働者派遣事業法では、第30条の2「均衡を考慮した待遇の確保」で、次のように謳われている。
「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない」
また、パート労働法では、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇に関して「パートタイム労働者の均等・均衡待遇指標」を規定している。
この「均等・均衡」を巡っては、何が均等か、何が均衡かで労使の厳しい対立の経緯があって、安倍官邸はこの「神学論争」に入り込むと話がぐちゃぐちゃになってことが進まなくなることを学習した上で、「同一労働同一賃金」にむけて正面突破で踏み込んできていることは高く評価できる。
これに関連して、民進党の副代表の長妻議員が、衆院予算委員会で「同一労働同一賃金だけではなく同一価値労働同一賃金が必要だ」と迫ったが、安倍総理は「必要であれば、そこはしっかり検討していく」と、さらりとかわした。
ここで言う同一価値労働同一賃金とは、1951年に国際労働機関(ILO)で採択された100号条約のことで、日本も67年に批准しているが、仕事の「価値」とは、その「知識・技能」、「負担」、「責任の重さ」、「労働環境」などを客観的に評価して導き出すとされている。だが、この「同一価値労働同一賃金」の考え方は、現代の経済学では次第に「同一労働同一賃金」の概念に組み込まれているというのが常識で、いまではカレーライスとライスカレーの違いみたいなもので、野党の対抗法案の旗印になるようなものではない。
動き出した水町プラン
4月22日、政府の第3回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」が開催された。この検討会では、水町氏が「同一労働同一賃金の原則」についてプレゼンテーションを行い、いよいよ本題の議論に入った(提出資料は厚生労働省HP「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」参照)。
NHKニュースWEBによると、水町教授から、正社員と非正規労働者との間で、賃金や待遇に差をつけることが認められる事例について、職務内容に関連する基本給や職務手当、勤続期間に関連する退職金や企業年金、それに生活保障的な家族手当や住宅手当などは合理的な説明がつくため、差を設けてもよいとし、一方、通勤手当や病気による休業、それに社内食堂の利用などは同一であることが求められるという、基本的な考え方が示されたという。
この水町提案の特徴は、「同一労働同一賃金」のうち、基本給と職務手当・退職金や企業年金・各種手当は「差」を認め、通勤手当・休業・社内食堂は「同一」とする、2分法をとったことである。さらに日本経済新聞(1.23)の安倍内閣の「一億活躍プラン原案」の記事によると、「合理的な説明」のつく「差」については、政府が指針(ガイドライン)をつくり、非正規雇用の賃金を正規の7~8割程度まで早期に引き上げ、欧州並みにする目標をかがけるという。
この「検討会」での水町提案と政府の「一億活躍プラン原案」の流れで、「同一労働同一賃金」が進むとすると、2つの問題がある。
第1は、「同一」と「差」が逆である。まず「同一」とすべきは基本給+職務手当(基準内賃金)の方で、通勤手当や食堂の方こそガイドラインを示し、労使の協議に委ねればいい。
第2に、非正規雇用の賃金を正規の7~8割程度に引き上るということは、正規と非正規の基本給の「差」は2~3割はあってもいいことになり、これでは我が国の労使慣行に根づいている正規・非正規格差の「4/5ルール」(2割以下)が前進するものにはならない。
第3に、肝心要のパートや契約社員、派遣労働者のボイスか届く仕組みかなく、非正規労働者のための「同一労働同一賃金」になっていないことである。
「同一労働同一賃金」への3つの戦略
そこで、どのような「同一労働同一賃金」を実現するかである。
それには理想を求めず、出来ることから手をつけることが必要で、3つの戦略を提起したい。
第1の戦略は、「同一労働同一賃金」で一番の対象になるパートや期間社員、派遣労働者の時給と企業内の正社員の中で賃金が一番低い層(企業内最低賃金)の賃金との均等を図ることである。
我が国の低賃金層は、賃金が高い順に「上・中・下」というか、うなぎや寿司みたいな「松・竹・梅」のように、それぞれ違う値段(月給・時給)が付いた三層賃金構造になっている。
まず時給が一番低い「下層」は、時給700円台で、全国の地域別最低賃金の中で沖縄・宮崎・高知・鳥取の4県の時給693円(月給換算するには160Hを乗じて11万880円)から奈良県の794円(12万7,040円)まで37道県の最賃に張り付いた時給層である。このパート時給が我が国の最下層賃金市場でベンチマークである。
次に時給700円~800円(月給11万2,000円~12万8,000円)までの「中」の層である。最低賃金でいうと、自動車産業や電子電機産業の特定産業別最低賃金に相当し、地方の製造工場で働く派遣・請負労働者の時給は各県の該当する産業の特定最賃に+30円か+50円を上乗せした水準で地場相場を形成している。
一番上は、時給800円台~900円を超えている、最賃ランクで千葉の817円(月額13万720円)から埼玉、愛知・京都・大阪に900円を突破した神奈川、そして全国最高の東京の907円(14万5,120円)の11都府県で、これらが時給の「上」を形成している。
以上のような三層賃金構造のどこから手をつけるか。
まずは時給1,000円戦略である。
連合は、全労働者の「下支え」・「底上げ」の観点から、地域別最低賃金を時給1,000円にしろと要求している。ただ、三層賃金構造のどれを1,000円にしろというのかよく分からない。「最下層」の時給693円と1,000円とは約300円の開きがある。第二次安倍内閣の官製最賃で、とりわけ昨年は18円の大幅引き上げを実現している。だが、仮に毎年20円ずつ引き上げても、1,000円に届くには15年かかる。15年で実現するなんて、途中でくたびれて運動にならない。したがって、真ん中のアンコの部分の「中」の特定産業別最低賃金、現行850円位の水準をまず900円台に持っていけば、 1,000円が指呼の間に見えてくる。そして、まず三段重ねの「上」を1,000円に引上げて、「下」を引張っていく現実的なアプーローチをとる。
時給1,000円と言えば月給に換算すると16万円、電機連合が16春闘で獲得した高卒初任給は16万円、両者同額である。現在、我が国の18歳労働市場においては、高校を卒業してパナソニックや日立などの大手電機企業に就職しても、あるいはショップの派遣店員や一般事務、バイク便のライダーになっても「同一賃金」なのだ。この職業人生のスタート台で、正社員の高卒初任給とパートタイマーや期間社員、派遣労働者などすべての非正規労働者の時給を1,000円の「同一賃金」にする第一歩の戦略だ。だが、18歳賃金を正規も非正規も「同一」でスタートしたとしても、12年後の30歳、17年後の35歳には「同一賃金」になっていないのが現実である。
これを打開するのが第2の戦略だ。連合は、2010年春闘から「均等待遇」の取り組みの第一歩として、傘下各産別にそれぞれの産業の代表的な職種の「銘柄別賃金」の登録を義務付け、2015年で77職種の標準労働者の賃金水準を公表している。これが正社員賃金の代表銘柄である。この取組みは「同一労働同一賃金」の運動にとって画期的な取り組みであったが、連合はこれを運動にまったく活用しておらず、宝の持ち腐れ、ネコに小判である。
例えば、自動車総連の高卒35歳の自動車製造組立労働者の賃金は31万2,400円、他方北関東の自動車工場の派遣・請負の時給は1,200円、月給にすると19万2,000円、さらに愛知県トヨタの工場からは時給1,500円で声がかかるが、月給だと24万円、それでもまだ8万円の差があることになる。また、電機連合の開発・設計職の基本賃金は31万2,468円、これに対してリクルートジョブズの派遣時給調査によると、IT系開発設計職の時給は2,048円、月給だと32万7,680円、ほぼ同一とみていいのだろうか。これは、実際の現場で判断するしかない。
そこで、第3の戦略が必要になる。
政府の検討会がいくら法律や「ガイドライン」をつくっても、実際に決めるのは現場の労使協議の場である。ましてや「同一労働同一賃金」の前進には、当事者であるパートや契約社員、期間社員、派遣労働者が働いている工場、オフィス、スーパー、ショップなどの現場で、その事業所の構内で働くすべての従事者の代表が一堂に会して、非正規側のボイスが届く場をつくることである。
それには、政府が「同一労働同一賃金」の原則と賃金差を容認する「合理的な理由」を政労使会議で合意した上で、経団連加盟企業と連合構成組織に降ろして、産業別労使や個別企業労使の協議に委ねて、1~2年かけてこういう協議にすればパートや派遣も喜ぶのではないかと知恵を絞った形の労使合意につなげ、そこから逆に産業別にまとめる形で政労使会議や労働政策審議会に整理して上げていけば、2~3年はかかるかもしれないが、審議会でも労使対立でデットロックに乗り上げることもなく現実的かつ実効性のある規制に結びついていくことなる。
例えば派遣の現場でいえば、ベンダー側(派遣事業者)の会社代表と労働組合(ない場合は従業員代表)、ユーザー側(工場やショップ)の代表及び労働組合(ない場合は従業員代表)の四者協議の場をつくることである。現在でも、四半期ごとに実施しているフォーキャスト(生産計画や営業見込み)の伝達の場があるので、これを活用して四者協議の場を設け、まずは現場で「同一労働同一賃金」について意見を交換することから始めることである。初めは同一賃金のボイスを聞くだけでもいい。四半期ごとに時給改善の話を聞かされれば、いかに頑ななユーザー側でも、協議のテーマにのせられるだろう、ということが重要だ。
労使協議の場に労働組合員以外の従事者の代表を参加させる制度を集団的労使関係という。しかし、最初からこの言葉を使うと経営側は構えるので、「同一労働同一賃金」の四者協議に限定していい。今度の改正派遣法には、3年を経過した同一事業所で継続して派遣するには、ベンダーが本人に部門変更の了解を取って、派遣先企業に申し入れ、それを労働組合に説明した上で返事するという、行ったり来たりの手続きをとることになっているが、四者協議なら一発で済む。 この場を通じて、安倍内閣の「同一労働同一賃金」を現場のボイスを組み込んだものに高めてもらいたい。
連合は見逃し三振か、クリーンヒットか
安倍内閣は、働き方改革に本気で取り組んでいる。「同一労働同一賃金」・「インターバル時間」・「三六協定・特別条項」の見直しなど、いずれも言うことがプロっぽい。野球で言えば、これらは連合が一番好きなコースである。ここに安倍官邸は“くさい球”を投げ込んできた。はたして、連合はこの球を強打一振、打ち返してクリーンヒットを放つか、それとも見送るのか。連合は、早急に各構成組織の政策担当者を集めて「同一労働同一賃金」の対抗策の検討を開始するという。是非、具体的でリアリティーある政策を望みたい。連合が“見逃し三振”ではカッコ悪い。
こばやし・よしのぶ
電機労連企画部部長、連合総研主幹研究員、現代総研常任理事を経て、グローバル産業雇用研究所を設立して所長。著書に『なぜ雇用格差はなくならないのか』(日本経済新聞出版社、2009年)
特集・転換の時代
- 安倍政権と7月参院選の未来史的意義日本女子大学教授・本誌代表編集委員/住沢 博紀
- 「オバマ外交」を大統領選の争点に国際問題ジャーナリスト/金子 敦郎
- ヤマト―日本にとって沖縄とは何か筑波大学名誉教授・本誌代表編集委員/千本 秀樹
- 混迷の2016アメリカ大統領選早稲田大学大学院客員教授/春名幹男×ジャーナリスト/北岡 和義
- 安倍晋三政権とメディアの関係メディアウオッチ100代表/今西 光男
- ミャンマー民主化促進への現状と課題前ITUCミャンマー事務所長/中嶋 滋
- 「同一労働同一賃金」の現実的な可能性グローバル産業雇用総合研究所所長/小林 良暢
- 壊れ始めた介護保険と老後生活大阪市立大学創造都市研究科教員/水野 博達
- [連載]君は日本を知っているか⑥神奈川大学名誉教授/橘川 俊忠
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