編集部から
15号編集後記
――動く朝鮮情勢 アベは蚊帳の外 政治の底が抜ける
◆韓国の文在寅大統領と朝鮮人民共和国の金正恩朝鮮労働党委員長は4月27日、軍事境界線・板門店で南北初の首脳会談を行い「板門店宣言」を発した。そこでは「完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現する共同の目標を確認」「今年、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、平和体制の構築へ、南北米、中の会談の開催を推進する」との署名を行った。歴史の新たな一ページが開かれた。次は一か月後の米朝会談、どのように歴史の舞台が回るか世界が注視。こうした中で英国のブックメーカーが、今年のノーベル平和賞候補で断トツの一番人気が「金正恩氏と文在寅氏」(1.7倍)とトランプ大統領の11倍を大きく引き離していると報じた。三人の同時受賞で朝鮮半島に平和と安定がもたらされるならば、これほど賞の目的にかなうものはない。安いものだ。もとより先行きは不透明であり、自分ファーストのトランプだ。秋の中間選挙や次期大統領選を見越して何をしでかすか分からない。しかし南北の緊張緩和ムードが続く限り、軍事行動はやれまい。ソウルや東京が火の海になる危機が遠のいたことは大歓迎。一方、これら動きの蚊帳の外が日本―アベ。ポンぺオの訪朝なども知らされていなかったようだ。外国に金をばら撒き対中包囲網の画策やアメリカの手先となって、対北は圧力のみと文大統領をバカにしていたアベ。その文大統領に拉致問題を話題にしてほしいと頼み込む破廉恥さ。恥を知れと言いたい。
◆そのアベ政治―日本政治は底が抜けてきている。政治の劣化などの言葉で表現できないほどの酷さ。政・官、立法府(議員)も醜悪な劣化の極み、泥沼への転落だ。もはや諸悪の根源=アベと言うしか言葉がない。議員の暴言(ホンネ)の続発、まあ「ナチスに学べ」と平然というNO2の副総理、推して知るべしである。保守リベラルの議員が逼塞し、アベ親衛隊のネトウヨ議員が跋扈する自民党。最後の悪あがきは止めよと言いたい。アベが尊敬するという吉田松陰、本号で橘川俊忠さんが、「安倍総理よ、先人吉田松陰の嘆きを聞け」の一文。また住沢博紀さんの自民党に代わる政権構想・政策をめぐって「キーパーソンに聞く」の連載企画開始。乞うご期待。
◆今国会最重要法案とアベが言う「働き方改革関連法案」。文字通り「働かせ方改革法案」だ。今号特集のタイトルとした。その重大性、危険性、どうあるべきか各論者の皆さんから渾身の論考を寄せていただいた。是非是非熟読をお願い。アベらによる「働かせ方改革」は労働のありかた、否、働く人の生活そのもの・市民社会のあり方を根底から揺さぶるものである。現在提案されている関連法案だけでなく、「解雇(首切り)の自由法案」、会社と労働者の雇用関係そのものを無くす「請負制度」なども画策されている。これらはいずれも経済団体・経営者らの見果てぬ夢である。曲がりなりにも労働者保護立法として成立していた労働基準法や労働組合法、さらには労災保険法や失業(雇用)保険法まで、そのうち廃止や縮小の攻撃にさらされるかもしれない。それらは“労働者”であることが適用の前提であり、雇用関係―労働者を無くす「請負制度」は、戦後労働法制解体の究極の狙いかもしれない。連合の責任は大きく重い。大手企業労働者の権益保護だけでなく、中小企業で働く労働者、2000万人を超える非正規労働者の権益保護にも真剣に取り組む必要あり。明らかに現状の連合は弱すぎる。今は亡き笹森連合会長時代に検討・提唱された「社会的労働運動」を今こそ構築すべきだ。全国で奮闘するユニオン系労組との連携や支援も考えるべきだ。
◆民進党・希望の党の新党が発足する。小池や細野の希望の党よりはましであろうが出発からガタガタのよう。これに連合が後ろで大きく関与したようだ。今後政党支持をめぐって旧総評・旧同盟の抗争が勃発するのではないか。連合幹部の責任は重大だ。
◆本号のコラム欄に掲載の池田祥子編集委員の「架空請求詐欺被害の顛末」は是非ご一読。アマゾンやウェルネット、コンビニ、ネットを絡ませた新手。いろんな時代を反映する新手の詐欺商法があるようだ。詐欺師も必死。明日はわが身、くれぐれもご用心。
最後に、本誌制作システムの変更・移行で一号休刊を頂きましたが、本号より編集委員会サイドの自主制作となりました。編集委員の北川徹が担当します。コンピューターの機械制御の技術屋さんですが、ウエッブの編集ソフトははじめて、勝手が違うと苦闘。ワードの書面を修正するのとは訳が違うようです。不十分な点あろうかと思いますが、しばらくはご容赦ください。(矢代)
季刊『現代の理論』2018春号[vol.15]
2018年5月1日発行
編集人/代表編集委員 住沢博紀/千本秀樹
発行人/現代の理論編集委員会
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