編集委員会から
17号編集後記
――アベ政治の黄昏か改憲一点突破を許すかの分岐点
●歴史の大きな変わり目を感じる。まもなくトランプ政治に審判が下る米国中間選挙。時おなじくトランプに続き、南米の大国ブラジルお前もかと極右・排外主義大統領の誕生。そしてドイツでもメルケル政治が大きく後退し新興右翼政党が台頭。世界はどこに行こうとしているのか。19世紀的な弱肉強食・喧嘩(戦争)に強いものが正義の時代に逆行するのか。
●自民党総裁選、沖縄知事選、ポンコツ改造内閣の支持率低迷と安倍政治は黄昏の様相を呈している。しかし見果てぬ夢である憲法改変へ。最後の死力を賭しての決意であろうか、政敵に転じる危険のある破廉恥漢・麻生や悪代官・菅はもとより留任。そして憲法一点突破へ極右お友達を党役員に配置、陪席大臣などどうでもよいと言わんばかりだ。これは憲法改悪への一点突破を図らんとする人事であろう。そのアベは自民党総裁選で石波に健闘され面子丸つぶれ。そして10日後追い討ちは沖縄知事選。逆らうものは潰すのアベの喉もとにささったトゲが沖縄。ヤマトの侵略者よろしく、植民地・属国を問答無用で従わせようの意思だったのであろうが、無残に敗北。本号特集の「安倍政治の黄昏と沖縄」である。
●アベは沖縄知事選敗北に計り知れない喪失感と屈辱を感じただろう。“文字どおり”の言葉がぴったりのアベ官邸・自民そして下駄の雪と蔑まれようと権力にしがみつく公明党・創価学会の総力戦。その総力戦では菅、小泉進次郎が3度、派閥会長の竹下は沖縄張り付き、石破茂、小池百合子まで動員。業界への徹底した締め付けと利権誘導、ばら撒き。業者は仕事が手に付かないとこぼすほど。菅は自慢げに「携帯料金の40%値下げ」を選挙応援の中心テーマにする酷さ。さすがに総ひんしゅくをかった。公明、創価学会も異様な総力戦。公明党幹部はもとより創価学会会長まで沖縄入り。最大争点の辺野古問題では県本部はなお反対の立場。本土から5000人ともいわれる大量動員。知人、友人、その紹介、同窓会名簿、取引先の社員名簿などを片手にタクシーを借り切り戸別訪問。沖縄のタクシー運転手さんが、“公明党がすべて借り切り車無いよ”の冗談も。なぜ公明、創価学会がそこまでやるか? 真贋・出所は不明だが、ある確かな元参院議員が、“沖縄知事選を勝たせてくれたら、憲法改正案で9条改正を下げてもよい”とのアベとの密約があったと暴露。それが公明・創価学会の異様な総力戦の要因だと。
●傍若無人、土足と金で沖縄を蹂躙しようとしたヤマト(本土)の権力―自民・公明の赤裸々な姿を沖縄の民衆は、肌で感じ実見した。危険な普天間は閉鎖の約束だったではないか、もう沖縄に新基地はいらないという思いの発露が辺野古新基地反対である。沖縄の民衆からすれば、沖縄を舐めているのか、フザケルナであろう。若者といえども家族や親族縁者にあの沖縄戦で悲惨な犠牲を受けた人も多数であろう。まさにこの知事選でヤマト(侵略者・支配者)による土足での蹂躙に、心の底からの魂の叫びが、今回の知事選の結果をもたらしたのではないか。今回の沖縄県知事選に示された沖縄の民衆(ウチナンチュー)の心の底からの魂の叫びは、沖縄は犠牲だけが強いられるヤマトの植民地ではないぞとの沖縄自立への叫びを内包しているものと思えてならない。沖縄の苦闘は続く。問われているのは本土の我われだ。
●黄昏のアベ政治だが、見果てぬ憲法改変への夢。三度目の消費値上げ凍結を国民に問う、と来夏の衆参同日選挙あり、アベはこれを狙っていると判断してよいだろう。どう対抗する野党である。それには真剣な統一戦線の構築が不可欠。立場や意見が異なる勢力が目的を共有して、共同の行動を取ることである。まさに“課題の一致、批判の自由、行動の統一”の三原則の確認と確立が急務である。本号でもアベ一強は強靭ではないと数字で分析(堀江論考)されている。そして、以前にも本欄で触れた、“こんな日本に誰がした”との若者の声。今のシルバー世代の責任は大であり、その自覚のもとにシルバーパワーの奮起が求められる。(矢代)
季刊『現代の理論』2018秋号[vol.17]
2018年11月1日発行
編集人/代表編集委員 住沢博紀/千本秀樹
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